ヒストリー

第1話

「コンビーフ&キャベツ」と呼ばれて

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)は、アメリカ ロサンゼルスに広大なスタジオを構える、世界的な映画会社です。

皆さまお馴染みの「ディズニー」「パラマウント」「フォックス」「ユニーバサル」「ワーナー」と並び、アメリカのメジャー・スタジオと称されています。

1989年にソニーがコロンビア映画を買収して、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)が誕生したことは、日本の皆さまには周知のことですが、SPEの本社は日本ではなく、映画の都として名高いハリウッドに程近いカルバーシティーの歴史あるスタジオにあります。

ここには、本社のオフィスの他に、30に及ぶ映画やテレビ番組の撮影のロット(撮影セットを組む巨大な建物)や、アメリカの町並みを再現したエリアが存在し、日々、映画やテレビ番組の撮影が行われています。ロサンゼルスのユニバーサル・スタジオほどの規模ではありませんが、見学ツアーも行われています。建物のいくつかには映画界に貢献した人物の名前-例えばCEOのオフィスがある建物には往年の名プロデューサー“タルバーグ(Thalberg)”、食堂は美貌の名女優“リタ・ヘイワース(Rita Hayworth)”-がつけられていて、映画を愛する人々が集う場所であることがわかります。

SPEが世界規模で展開する映像に関係するビジネスは、映画、テレビ番組の製作とそれらの配給や放送、ブルーレイやDVDなどホーム・エンタテインメント素材の製作と販売、撮影施設の運営と管理、さらには技術革新による新しいエンタテインメント開発等、広範囲に渡っています。

さて、これから数回に渡り、SPEの歴史をご紹介いたします。

時は20世紀の初頭、モノクロの無声映画の時代に遡ります。

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SPEの歴史物語は、1918年、ハリーとジャックのコーン兄弟がジョー・ブラントという共同経営者とともに会社を設立、短編、中編映画を製作したことに始まる。社名はCBC (コーン・ブラント・コーン)フィルム・セールス。CBCはコーン兄弟とブラントの頭文字である。この社名は、業界ではもっぱらコンビーフ&キャベツ(Corned Beef and Cabbage)の「CBC」とかけて呼ばれるようになった。つまり、会社設立当初は非常に低予算な映画しか作れなかったということである。この頃アメリカの映画産業は勢いよく伸び始め、映画という世界に魅了され、当時5セントの入場料で映画館に足を運ぶ人は、1920年には毎週3,500万人を越えるまでになっていった。